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プロジェクトコラム

HTV-X1
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奥山圭一研究室

日本大学 理工学部 航空宇宙工学科・教授

■担当業務の概要
日本大学 理工学部 航空宇宙工学科 奥山研究室では、小型衛星「てんこう2」を開発し、HTV-X1号機のH-SSODに搭載させていただきます。本衛星は炭素繊維強化複合材の宇宙環境耐性評価や先進通信技術の獲得などを目的としています。学生主体で設計・試験を行い、協力企業との連携に加え、芸術学部や20を超える附属高校とも協働し、科学と文化を融合させた「N.U Cosmic Campus」として実現しました。得られる成果は将来の月や火星探査をはじめ、極限環境における宇宙活動の基盤となることを目指しています。

HTV-X1号機に込めた思い

HTV-X1号機に「てんこう2」を託せることに、胸が高鳴っています。学生と共に夜を徹して設計し、協力企業と汗をかきながら試作を重ね、仲間と笑い、時に涙を流して歩んできた日々。その結晶が、この大空へと舞い上がろうとしています。宇宙開発は夢そのものであり、困難の連続でもあります。しかし挑戦をやめない限り、その夢は確かな光となり、未来を照らしてくれるはずです。

私たちは、H-IIロケットの深海エンジン回収、はやぶさの奇跡の帰還、あかつきの再挑戦、オポチュニティの15年、Falcon 1の成功といった逆境に挑んだ物語に学んできました。その姿勢を受け継ぎ、「しんえん2」「てんこう1」の系譜を経て「てんこう2」がHTV-X1号機と共に飛び立ちます。この歩みに参画できることは大きな誇りであり、JAXAの挑戦にご一緒させていただけることに深く感謝いたします。

さらに「てんこう2」には、日本大学附属高校の吹奏楽部が演奏した『We Are The World』の音楽データが搭載されています。芸術学部が生み出したキャラクター「キャプテンヒカル」と共に旅立つこの衛星は、科学と芸術、大学と高校が一つになる「総合知」の象徴です。そしてこの小さな衛星から得られる経験と知見が、やがて月や火星といった新たな世界へ人類が歩み出すための礎となることを願っています。