
上嶋 博子
JAXA 有人宇宙技術センター 技術領域主幹
■担当業務の概要
HTV-Xの運用は、HTV-X運用管制システムだけでは成立しません。JEM/HTV-X共通仮想基盤、NASAや追跡システムとインターフェースするためのネットワークシステム、HTV-Xに搭載されるペイロードや実証ミッションの外部データ配信システム、音声・ビデオ装置など、多くの設備をJEMの地上システムと共有しています。そのため、これらの地上システムを運用・監視する地上運用管制官(Ground Controller)もHTV-Xで統合しました。これら、全ての機器・システム・運用管制官を統括して、HTV-XだけでなくJEMの運用にとっても「当たり前」の運用環境(インフラ)を提供するのが私の仕事です。
HTV-X1号機に込めた思い
HTV-X1にむけた地上システム開発の検討を始めたのは2016年あたり。気が付けば10年弱の月日が流れ、ようやくHTV-X1の打上げがすぐそこ、というところまで来ました。待ちに待ったHTV-X1の初フライトというわくわくの中で、大丈夫かな?と急に不安に襲われることもあります。私達が生活する中で、当たり前に電気があって、当たり前にインターネットにつながっていて、当たり前に電車やバスが走っている。そんな当たり前を沢山の人が支えています。HTV-Xの地上システムも同じです。当たり前が守られてこそ、HTV-X1が安全に国際宇宙ステーションまで飛ぶことが出来ます。このコラムを書いている今まさに、HTV-Xの運用管制室で打上げに向けた地上システムの最終準備確認が行われています。当たり前の運用環境を提供する、縁の下の力持ちに徹する。そのためにも、HTV-X1が大気圏に再突入するその日まで万全の状態を整えます。