
麻生 康一郎
JAXA 宇宙飛行士運用技術ユニット 宇宙飛行士健康管理グループ 主幹研究開発員
■担当業務の概要
宇宙食担当として生鮮食品取扱業者との折衝を通じて生鮮食品の打上げの調整を行ってまいりました。
打上げ対象候補である生鮮食品の保存試験(菌数試験/官能検査)結果を精査し、安全性・保存性に少しでも懸念があれば絶対に打ち上げないという確固たる意志を持って選定しました。
産地出荷からISS到着までの輸送についても鮮度保持の大敵である温度変化や高温環境を極力抑える工夫をし、1日でも長持ちするよう配慮しています。
HTV-X1号機に込めた思い
約1年前-唐突にHTV-Xで打ち上げる生鮮食品担当の命を受け、右も左もわからないまま業務が始まりました。
これまでの生鮮食品取扱業者との調整の経緯も把握できないし、HTV-X関係者との会話も専門用語の嵐でチンプンカンプン、そんな完全アウェイの空気の中で「生鮮食品を打ち上げる」その一点だけ目指してただひたすら目の前の課題をクリアすることに注力しました。
NASAから生鮮食品を梱包する容器(CTB/GSB)が届く予定だったのに急に「送らない」とか言われる(結果無事届きましたが)、「生鮮食品を搭載する余地はない」とか言われる(結果余剰枠で搭載可となりましたが)などいろいろ翻弄されましたが、なんとかここまで辿り着けてホッとしております。
(ここでは書けませんが、もっと身近なところで毎日のように困難に立ち向かっていました…)
そんな血と汗と涙が滲む、魂のこもった生鮮食品を野菜嫌いの油井さんに美味しく召し上がっていただけるよう、無事に届けてくれよ、HTV-X1!