阿部 瑞樹
JAXA DELIGHT宇宙実証研究チーム 新規技術要素担当
■担当業務の概要
HTV-X1号機では、技術実証ミッション「展開型軽量平面アンテナの軌道上実証（DELIGHT）」を担当しています。DELIGHTでは、宇宙太陽光発電システムのような未来の大型宇宙構造物の実現のために，新しいパネル展開・結合機構と軽量平面アンテナを、軌道上で正常に動作することを実証するとともに、その機構・構造・熱解析の妥当性を検証することを目的としています。私はこれまで、DELIGHTの様々な開発試験、射場でHTV-Xに搭載する作業、軌道上での運用など、宇宙実証に向けた準備作業を担当してきました。またDELIGHTの先を見据えた大型宇宙構造物の軌道上構築技術の研究にも取り組んでいます。
HTV-X1号機に込めた思い
JAXAに入社してすぐ、DELIGHTの開発に携わることになりました。DELIGHTはJAXAと関係メーカーの少数精鋭チームで開発しており、これまで数多くの試行錯誤を重ねながら前進してきました。特にDELIGHTは機構部品を多く搭載しているため、地上試験での検証は挑戦の連続でした。なかでも振動試験後の展開機構の動作をどう確認するかが大きな課題でしたが、私が提案した方法を取り入れたところ、うまく検証することができ、初めて確かな手応えを感じました。最近では試験対応を任せていただける機会も増え、宇宙機開発に対する理解が深まっていることを実感し、とても嬉しく思っています。DELIGHTの開発を通して非常に濃密な時間を過ごし、これからの研究開発に役立つ大切な経験になったと感じています。支えてくださった多くの方々への感謝を忘れず、DELIGHTの実証実験を成功させられるよう、これからも全力で取り組んでいきたいと思います。