
清水 成人
JAXA 研究開発部門第一研究ユニット 主任研究開発員
■担当業務の概要
HTV-Xの「目」の役割を担う相対航法センサ「HTV-X用Flash LIDAR(FL)」の開発を担当しました。HTV-XがISSに安全に接近するためには、HTV-XとISSの 相対位置を知る必要があります。FLはISSにレーザー光を照射し、その反射光の方向と送受信の時間差(光速をかけるとISSまでの往復距離が得られる)からISSの3次元の相対位置を計測します。研究 開発部門は、FLの核心部品である3次元イメージ検出器の宇宙仕様化とセンサコンポーネントとしての設計・試験検証を実施し、その成果をHTV-Xプロジェクトに引き渡しました。
HTV-X1号機に込めた思い
HTV-XのISSへの接近ミッションにおいて航法センサは重要な役割を担います。そのため、FLの開発においては様々な試験を実施し、発生し得る不具合の洗い出しと対策のサイクルを数えきれないほど実施しました。例えば、数百メートルの長距離の計測精度を検証するため、飛行場の滑走路や車のテストコースなどを貸し切り、夏は炎天下、冬は筑波おろしに耐えながら試験を実施しました。特殊な試験としては、FLの視野に太陽が入っても検出器の全画面が飽和せず、ターゲット(ISSに取り付けられたリフレクタ )を検知し、太陽光をターゲットと誤検知しないことを検証するために、FLに強力な(黒い紙を当てると集光熱で白煙が上がるくらいの)スポットライトを照射する試験を実施しました。私個人としては地上でできる試験はすべてやりきったと思っています。しかし、それでも正直なところ不安な気持ちはゼロではありません。あとは私たちのやってきたことを信じてFLのファーストライトを待ちたいと思います!