宇宙の新時代を切り拓く、
HTV-Xの挑戦
新型宇宙ステーション補給機(HTV-X)は、大型機器や宇宙飛行士の生活を支える荷物を運びます。HTV-Xは、コスト削減と運用の最適化を実現しました。また、技術実証プラットフォームとして、打ち上げ後最長1年半にわたり宇宙での先端的技術の実証試験が可能です。宇宙探査の進展と社会的課題の解決への貢献を目指します。
「HTV-X」機体の特徴
「HTV-X」は、さまざまな点で「こうのとり」からの輸送能力・運用性の向上が図られています。

項目 | 数値 |
全幅 | 約18.2 m |
全長 | 約8.0 m(遮熱壁を含む) |
直径 | 約4.4 m |
打上げ時質量 | 約16.0 トン |
サービスモジュール(カーゴ搭載構造含む) | 約3.8 トン |
推薬・加圧ガス | 約2.4 トン |
与圧モジュール(カーゴ搭載構造含む) | 約3.8 トン |
与圧カーゴ | 約4 トン |
曝露カーゴ、技術実証ミッション | 約2 トン |
軌道:高度 | 300〜500 km |
軌道:軌道傾斜角 | 約51.6 度 |
ISS係留中の運用期間 | 最長6か月 |
ISS離脱後の運用期間 | 最長1.5年 |
上記は、HTV-X機体システムの標準的な仕様に基づく。打上げ時質量や運用期間は号機によって異なる。
「こうのとり」を超える輸送力と運用性
飛行機能をサービスモジュールに集約し、将来はモジュール単独での使用が可能です(推進系と電気系の統合、スラスタや太陽電池パネルの集約等による)。また、船内物資を搭載する与圧モジュールを最下部に配置することで、機体の軽量化を実現し、輸送能力を向上。曝露カーゴ搭載部は最上部に移すことで大型の物資の搭載を可能とします。これらにより、HTV-Xは効率的で柔軟な輸送を実現します。

ISSへの物資補給の強化
輸送能力の増強
- 質量:4トン ⇒ 5.85トン(45%増)
- 容積:49m3 ⇒ 78m3(60%増)

カーゴサービス(物資輸送サービス)の向上・改善
- 射場作業期間短縮により、搭載する物資の登録や引渡しが打上げ間近に
- レイトアクセス:80時間前 ⇒ 24時間前の物資搭載が可能に
- カーゴへの電源供給で、電源が必要な実験装置等の荷物に対応

HTV-X 1号機技術実証ミッションの飛行計画

A.初期軌道投入フェーズ
B.ISS近接(ランデブーフェーズ)
C.ISS近傍運用フェーズ
・最長6か月の係留が可能になり、輸送物資の搬出・廃棄物資の積み込み作業の柔軟性が向上します。
D.技術実証ミッションフェーズ
・ISS離脱後から再突入までの期間において、軌道上での技術実証や実験を行うプラットフォームとして活用します。
E.再突入フェーズ
※特に断りのない限り、画像クレジットは©JAXA