火星深部マグマの理解に向けた鉄に富むかんらん岩組成ケイ酸塩融体の密度・粘性率測定

公開 2025年12月 5日

Silicate Melt 2Density and viscosity measurements of iron-rich peridotitic silicate melts toward understanding the deep silicate melt layer in Mars.

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研究目的 NASAのInSight探査機により火星において観測された地震波の解析から、火星深部の核-マントル境界に高密度のケイ酸塩マグマ層が発見され、その物質科学的理解が重要視されています。本研究では、「きぼう」日本実験棟搭載の静電浮遊炉を用いて、鉄に富むかんらん岩組成ケイ酸塩融体の密度・粘性率を測定することにより、火星深部において重力的に安定な高密度マグマを理解することを目的としています。
宇宙利用/実験内容 本実験では、「きぼう」の静電浮遊炉を用いて、地球や惑星のマントルの主要構成組成であるかんらん岩組成(MgO-FeO-CaO-SiO2-Al2O3)のケイ酸塩融体の密度・粘性率測定を行います。そして、過去の宇宙実験「Silicate Melt」で得られた単純組成のMgO-FeO-SiO2組成ケイ酸塩融体の密度・粘性率結果との比較を含め、より複雑なかんらん岩組成ケイ酸塩融体において、Fe量とSiO2量の組成変化が密度・粘性率に及ぼす影響と、密度・粘性率の温度依存性を明らかにします。
期待される利用/研究成果 本実験により得られるかんらん岩融体の密度の組成依存性・温度依存性結果と、高圧実験研究によるケイ酸塩融体の圧縮曲線を組み合わせることにより、鉄に富むかんらん岩融体の密度モデルを構築することが可能になると考えています。そして、観測から報告されている火星内部の密度構造モデルとの比較により、火星の核-マントル境界において重力的に安定なかんらん岩マグマの組成とその物性を解明することができると考えており、火星内部の状態・挙動と進化を理解する上で重要な知見をもたらすと見込まれています。
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河野 義生 KONO Yoshio

関西学院大学 教授

2006年に横浜国立大学環境情報学府博士後期課程修了。愛媛大学研究員、助教、米国・カーネギー地球物理研究所ビームラインサイエンティストを経て、2018年7月より愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター准教授。2024年4月より関西学院大学 理学部物理・宇宙学科 教授、現在に至る。

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