Space EggReproduction Experiment of chondrules formed during high-temperature processes in the protoplanetary disk
研究目的 | コンドリュールは小惑星や地球の材料物質であるため、太陽系の形成史を解明する上で重要な固体物質です。本研究では、コンドリュールの組織を再現することで形成過程を明らかにします。 |
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宇宙利用/実験内容 | コンドリュールは、出発物質が高温に加熱されて溶融した後、宇宙に浮遊し周りとの接触がない状態で結晶化しました。静電浮遊炉では、安定的に酸化物(シリケイト)の模擬物質を浮遊させることができ、天然の環境を再現することができます。本研究では隕石中に含まれる実際のコンドリュールの化学組成の出発物質を用い、冷却率(結晶化温度領域で0.5K/s~100K/s)と結晶化後の加熱時間を変化させ、コンドリュールの結晶組織の再現する温度条件を決定します。 |
期待される利用/研究成果 | コンドリュールが経験した温度の歴史を解明することで、コンドリュール形成を引き起こした加熱イベントの特徴を絞り込むことができます。現在、加熱イベントに関する数多くの理論モデルが提唱されていますが、どの説が最も正しいかはわかっていません。本実験の結果は、太陽系の惑星形成理論に大きな影響を与えることが期待されます。 |
関連トピックス |
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詳細
研究代表者
研究分担者
要旨私たちの住む太陽系は約46億年前に生まれました [1]。太陽系はガスとダストで構成される原始太陽系星雲から出発し、粒子が集積・合体することで微惑星や大きな惑星に進化していき、今日のような惑星系が形成されました(図1)。コンドリュールは直径1 mm程度の球状の結晶物質で、原始太陽系星雲において太陽近くの領域で形成した物質です(図2)。地球のような岩石型の惑星の材料物質であるとも考えられており、コンドリュール太陽系の形成史を理解する上で重要です。コンドリュールは星雲内の無重力環境下で、前駆物質が瞬間的な加熱を受けて溶融し、急冷されてできたと考えられていますが、具体的な形成過程は未解明です。その最大の理由は、地上実験ではコンドリュールの組織や元素組成の分布を完全に再現できていないからです。そこで、本研究では実際に宇宙空間で、非接触・微小重力下での溶融実験を行いコンドリュールの再現を目指します。 実験の概要コンドリュールは特徴的な組織を持っており、組織ごとに分類わけされていますが [2]、本実験では棒状カンラン石(Barred-Olivine:BO)コンドリュールを対象としています(図2)。このタイプを選んだ理由としては、(i)前駆物質が完全に溶けた融液から結晶化してできたため、実験で溶融・冷却条件を明確に制約でき、星雲で起こった高温現象を制約できるためです。加えて(ii)BOコンドリュールは特徴的な組織をもっており(細長いカンラン石の結晶と間をうめるガラス、コンドリュールの表面を一周取り囲むリム結晶)、再現実験の成否を判断しやすことも挙げられます。 ISSの静電浮遊炉では、安定的に酸化物(シリケイト)の模擬物質を浮遊させることができ、天然の環境を再現することができます。実験では、隕石中に含まれる実際のBOコンドリュールの化学組成を模擬した出発物質を用い、冷却率(結晶化温度領域で0。5K/s~100K/s)と結晶化後の加熱時間を変化させ、コンドリュールの結晶組織の再現する温度条件を決定します。 期待される成果コンドリュールの組織や化学組成は形成時の温度を反映していると考えられていますが、コンドリュール形成を引き起こした加熱イベントのメカニズムはわかっていません。本研究の結果から、加熱イベントの具体的な冷却率を絞り込み、これらと理論モデルを比較することで、加熱イベントの妥当性を評価することができます。これは太陽系の惑星形成論に大きな影響を与えることが明白です。 参考資料
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