更新 2024年11月25日
MHU-5JAXA Mouse Habitat Unit Technical Verification
完了
宇宙利用/実験期間 | 2019年 ~ 2020年 |
---|---|
研究目的 | 本研究は、0Gから1Gまでの重力環境を人工的に模擬できる、世界唯一の研究プラットフォーム(実験環境「MARS」)を用いた技術実証を目的としています。第4回ミッション(MHU-4)にて同時実施された小型遠心機(直径約0.35m)の技術実証に続き、第5回ミッション(MHU-5)では大型遠心機(直径約0.76m)を用いて、月面低重力環境の動物個体への影響に関するデータ取得に世界で初めて挑戦します。 有人宇宙探査に向け、月や火星など地球より低い重力環境で動物の身体がどのように適応するかなど、日米協力等を中心とした国際的な研究が加速しています。今回の低重力ミッション(技術検証)は、その研究基盤を日本が先んじて世界に提供するものとなります。 |
宇宙利用/実験内容 | 月の重力を模擬した1/6の重力(低重力)環境下で、野生型マウス6匹を長期飼育し、生体基礎データを取得します。JAXAが開発した飼育装置を用いて約1か月間の軌道上飼育を実施し、その後、全数生存帰還させる計画です。特に、第5回ミッションでは、ISSで最大直径を有する大型遠心機(直径約0.76m)で模擬する重力環境において、重力勾配が緩和され、より厳密な重力設定を可能にする技術を実証します。取得された生体基礎データは、第1回ミッション(MHU-1)の研究チーム(筑波大学 高橋智教授)と協力し、微小重力環境(μG)および人工重力環境(人工1G)でのデータと比較し、1/6の重力における変化の解析を行います。 |
期待される利用/研究成果 | JAXA独自の実験環境「MARS」を用いて、宇宙空間で微小重力(μG)から1Gまで重力負荷を模擬した実験を可能にする装置技術は、軌道上でのライフサイエンス実験における日本の強みです。本研究において、世界で初めて月の重力環境を模擬し、長期間飼育と全数生存帰還を成功させ、将来の有人宇宙探査にむけた生体基礎データ蓄積の点で世界をリードする第一歩となることが期待されます。 今後、得られた成果(特定組織のトランスクリプトーム解析結果など)は、宇宙生命科学統合バイオバンク( ibSLS )に蓄積され、東北大学東北メディカルメガバンク(ToMMo)のコホートデータとの連携解析に活用される予定です。また、ISSの利用成果最大化に向けた日米協力枠組み (Japan-U.S. Open Platform Partnership Program: JP-US OP3)のもと、「MARS」を用いた低重力ミッション(Joint Partial-gravity Rodent Research/Mouse Habitat Unit-8)を米国航空宇宙局(NASA)と共同実施する予定です。 |
関連トピックス |
|
詳細
|
|
研究論文(Publication)
|