無重力や寝たきりによる筋萎縮の予防に有効なバイオ素材の探索

公開 2020年3月17日

Anti-AtrophyResearch on inhibitory effects of novel concept biomaterials, a HSP inducer and ubiquitin ligase inhibitor, on microgravity-induced muscle atrophy

解析中
宇宙利用/実験期間 2021年 ~ 2021年
研究目的 研究チームは、天然の抗筋萎縮作用を示す物質(バイオ素材)として、筋萎縮関連酵素Cbl-bユビキチンリガーゼの阻害ペプチド(ミリストイル化Cblinペプチド)と、熱ショック蛋白質誘導剤Celastroの2種類をこれまでに見出しています。本研究では、これら天然の抗筋萎縮物質が、実際の無重力による筋萎縮に有効であるかどうかを証明することを目的としています。さらに、これら物質の抗筋萎縮作用メカニズムは異なるので、相加的な治療効果の有無も検討します。
宇宙利用/実験内容 微小重力によって引き起こされる筋萎縮に対して、バイオ素材を処理したラット由来の筋細胞L6を用いて、①蛋白質合成シグナルの活性化、②蛋白質分解シグナルの抑制を中心に解析を行うことにより、バイオ素材 (CblinとCelastrol) の有用性を実証します。軌道上では、これまでに使用実績のある宇宙実験のために開発された細胞培養容器、培地交換器具を用いて、宇宙飛行士がバイオ素材を添加する作業等を行います。実験終了後の試料は、冷凍保存したうえで地上に帰還させ、研究チームのラボにおいて、蛋白質合成シグナルの活性化や蛋白質分解シグナルの抑制に関する変化を分子生物学的手法や生化学的手法を用いて解析します。
期待される利用/研究成果 安全な長期間の有人宇宙活動には、「食」は重要な要素です。実際の無重力による筋萎縮にたいして、これら天然物の有効性が示されれば、摂取の簡便性(食品として摂取可能)の点から、微小重力起因の筋萎縮に対して極めて有効な対処法となります。また、微小重力の筋萎縮により有効な薬剤、機能性食材の開発の大きな一歩となり、有人宇宙活動の幅を広げることに役立ちます。
関連トピックス

二川 健 NIKAWA Takeshi

徳島大学大学院 ヘルスバイオサイエンス研究部 教授


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