「きぼう」での線虫実験―触覚刺激の減少が神経・筋機能の低下や老化促進に関与する可能性を発見

公開 2026年6月25日

東北大学大学院生命科学研究科の東谷篤志教授らの研究チームは、2022年11月、2024年3月に国際宇宙ステーション(ISS)「きぼう」日本実験棟で実施したNeural Integration System実験の研究成果を発表しました。
この実験では、モデル生物「線虫(Caenorhabditis elegans)」を用いて、宇宙の微小重力環境では接触を介した触覚刺激が減少することに着目し、微小重力が神経・筋・老化に与える影響を調べました。実験では、微小重力下での触覚刺激を増やすため、培養環境にマイクロビーズを加えた実験群も設け、比較を行いました。
その結果、微小重力環境で育った線虫では、神経シナプス伝達の低下や筋ミトコンドリアの構造変化に伴う老化の促進が見られました。一方、マイクロビーズによって触覚刺激を増やすことで、これらの変化が改善されることが示されました。
今回の成果は、微小重力環境で生じる筋萎縮や老化の促進に「触れる機会の減少」がカギとなる可能性を示すものです。将来の長期宇宙滞在や深宇宙探査に向けた健康維持手法の開発につながることが期待されます。

これらの研究成果は、科学雑誌『The FASEB Journal』に掲載されました。(論文情報

論文情報

雑誌名
The FASEB Journal
論文名
著者名
Higashitani Atsushi, Je-Hyun Moon, Jong-In Hwang, Higashitani Nahoko, Hashizume Toko, Ahmad Aisha Abu, Ooizumi Kazuki, Ibuki Sazuka, Hashizume Yoshimitsu, Umehara Masumi, Alfredo V. Alcantara Jr, Ban-seok Kim, Timothy Etheridge, Nathaniel J. Szewczyk, Abe Takaaki, Jin I. Lee, and Akira Higashibata
DOI
10.1096/fj.202600867RR

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