公開 2023年10月31日
山梨大学発生工学研究センターの若山清香助教および若山照彦教授、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、日本宇宙フォーラム、理化学研究所バイオリソース研究センター、明治大学農学部などからなる研究グループは、凍結したマウス2細胞期胚(受精後、1回細胞分裂をして細胞が2つになった状態の胚)を国際宇宙ステーション(ISS)へ打ち上げ、微小重力下で胚を解凍・培養し、哺乳類の胚が正常に発生し分化出来るのか調べました。
本研究では、凍結した胚をISS内で容易に解凍・培養の操作が出来るデバイスを開発し、宇宙実験を可能にしました。このデバイスを用いて処理された胚は、微小重力および人工1G区それぞれで4日間培養されました。その結果、マウス2細胞期胚は微小重力でも胚盤胞期まで発生でき、胎児側と胎盤側の細胞へ正しく分化出来ることが明らかとなり、一部の胚では胎児側の細胞が2か所に分かれ、一卵性双生児が産まれる可能性も示されました。
本研究成果は、2023年10月28日に「Cell」の姉妹誌「iScience」にオンライン掲載されました。(論文情報)
- 「きぼう」でマウス凍結胚を解凍し、無重力で胚を発生させることに成功~哺乳類の初期発生における重力の影響が明らかに~ (山梨大学プレスリリース)(2023年10月28日)
学術論文
雑誌名
iScience
論文名
著者名
Wakayama Sayaka, Kikuchi Yasuyuki, Soejima Mariko, Hayashi Erika, Ushigome Natsuki, Yamazaki Chiaki, Suzuki Tomomi, Shimazu Toru, Yamamori Tohru, Osada Ikuko, Sano Hiromi, Umehara Masumi, Hasegawa Ayumi, Mochida Keiji, Li Ly Yang, Emura Rina, Kazama Kousuke, Imase Kenta, Kurokawa Yuna, Sato Yoshimasa, Higashibata Akira, Matsunari Hitomi, Nagashima Hiroshi, Ogura Atsuo, Kohda Takashi, Wakayama Teruhiko
DOI
10.1016/j.isci.2023.108177