静電浮遊炉を利用した米国の実験を開始しました!

公開 2020年6月12日

国際宇宙ステーション(ISS)の利用成果拡大のため、日本と米国で実験装置の相互利用などを促進するプログラム(Japan-United States Open Platform Partnership Program :JP-US OP3)があります。このプログラムに基づき、2020年6月から「きぼう」日本実験棟に搭載した静電浮遊炉(ELF)を利用した米国の実験を開始しました。このプログラムで「きぼう」の日本の実験装置を米国の研究者が利用するのは今回が初めてです。

静電浮遊炉

本研究は、静電浮遊炉等を利用して、液体状態の金属の物性値を精密に測定することを目的としており、鋳造や溶接などの製造プロセスの改善につながることが期待されます。 JAXAでは今後も継続して静電浮遊炉を利用した米国の実験を実施する予定です。

  • 研究代表者米国Tufts大学、Douglas Matson准教授
  • 実験名Round Robin (Thermophysical Property Measurement)
  • 実験目的
    • 金属や合金の熱物性値(密度、表面張力、粘性)の測定誤差の原因を理解し、制御する。
    • 熱物性値の測定における不確かさを定量化するため、ベースラインとなるデータを提供する。
研究代表者コメント
DOUGLAS MATSON准教授

JAXAの静電浮遊炉ELFは、溶融金属の熱物性値を幅広く測定することができる新たな道を切り開いています。日本およびアメリカの科学者は、将来人類が宇宙で暮らすことを目指した長期的な視点に立ち、低軌道の宇宙実験がどのように地上の商業的なプロセスのモデリングに貢献できるかを評価するため、純元素、ガラス、産業的な合金、準結晶材料などの研究を追及しています。JAXAおよびNASAの仲間たちと一緒に歴史的な協力を実施できることは大きな喜びです。

The JAXA Electrostatic Levitation Furnace (ELF) represents a new way to conduct thermophysical property measurement on a wide range of molten metallic materials. Japanese and American scientists are pursuing investigations on pure elements, glass-forming materials, industrial alloys, and quasicrystal forming materials to evaluate how processing in Low Earth Orbit can lead to advances in modeling of terrestrial commercial processes with an eye toward the long-term exploration vision for living in space. It has been a great pleasure working together with our JAXA and NASA colleagues to make this historic collaboration possible.

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