国際宇宙ステーションの飲み水にひそむ細菌の特徴を解明

公開 2026年2月18日

国際宇宙ステーション(ISS)では、汗や尿を再利用して飲み水を作っています。今回の研究で、そのリサイクル水を調べたところ、「ラルストニア・ピケッティ※」という細菌が全体の約7割を占めていることが分かりました。

この細菌は、ねばねばした「EPS(細胞外高分子物質)」という、接着剤のような物質を出して、細菌同士を結び付けます。これにより、水の中で細菌の集まりが膜状になった「バイオフィルム」が形成されます。バイオフィルムは細菌たちにとって「よろい」や「基地」のような役割を果たしますが、水をつくる装置の詰まりや不調の原因となることがあります。
さらに、この細菌は宇宙に近い環境では、地上よりもEPSをたくさん作り、より頑丈なバイオフィルムをつくることもわかりました。このことから、この細菌は宇宙でも、まわりの環境にあわせて生きているのではないかと考えられます。

今回の発見は、将来の宇宙生活で安全な水供給を維持するうえで、大切な手掛かりとなります。また、この研究を活かして、地球での水利用をより良くすることにも役立つと期待されています。

ラルストニア・ピケッティ(Ralstonia pickettii):土壌や水の中に広く存在する一般細菌。栄養の少ない水環境でも生きることができ、水を処理する装置の中でもバイオフィルムをつくる性質があります。

学術論文

雑誌名
Microbiology Spectrum
論文名
High Extracellular Polymeric Substances Production and Biofilm-Forming Capacity of Ralstonia pickettii Isolates from ISS Potable Water (和訳:ISS飲料水由来のRalstonia pickettii分離株の高い細胞外高分子物質産生能とバイオフィルム形成能)
著者名
見坂 武彦、一條 知昭、山崎 丘
DOI
10.1128/spectrum.02913-25

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
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