国際宇宙ステーション(ISS)の「きぼう」日本実験棟に搭載された静電浮遊炉(Electrostatic Levitation Furnace: ELF)を用い、様々な宇宙実験が行われています。現在は、太陽系形成初期に起こった高温現象の解明に挑戦するSpace Egg実験※1 が進行中です。
Space Egg実験の試料は、地上試験での検討結果をもとに準備されています。しかし、初めて宇宙で浮遊溶融を試みるため、予期せぬ挙動を示すものもあります。そのため、研究者と実験運用チームが協力し、試行錯誤を重ねながら実験を進めています。宇宙での実験完了後は、試料を地上に回収し、実験時の加熱・冷却条件と照らし合わせながら、地上での分析や解析を行う予定です。
これらのELFでの宇宙実験は、宇宙飛行士や地上運用チーム、装置スタッフのサポートにより支えられています。ELFチームは、きぼう利用による多くの成果創出を目指し、これからも研究者の期待に応えるべく、準備と実験を進めていきます。
コンドリュールは、隕石中に含まれる数百µmから数mmサイズの球状物質で、惑星の材料物質のひとつと考えられています(図1)。この球状物質は、宇宙空間で溶融・冷却により結晶化して形成されたと考えられています。しかし、結晶組織や化学組成を完全に再現した実験例はなく、その形成プロセスは未解明のままでした。
本実験では、事前の地上実験とシミュレーションにより最適な温度条件を設定し※2、より天然の形成環境に近い宇宙で加熱・冷却する再現実験を行っています。
この実験から得られる加熱温度、冷却速度、結晶化時の振動状態、微小重力下での結晶成長の振る舞いは、初期太陽系で起きたコンドリュール形成現象の制約や惑星形成環境の推定に寄与することが期待されます。
- ※1 原始太陽系星雲の高温過程で形成されたコンドリュールの再現実験(Space Egg)
- 研究代表者 中村 智樹(東北大学 教授)
- ※2 太陽系の「石のタイムカプセル」の"模様"を数値計算で再現!〜小惑星や隕石に含まれる不思議な形をした鉱物の結晶成長過程の解明へ〜 (名古屋市立大学プレスリリース)




