公開 2022年12月22日
ドラゴン補給船運用26号機(SpX-26)によって国際宇宙ステーション(ISS)に運ばれた試料を用いて、若田宇宙飛行士により11月28日から「モデル生物を用いた宇宙フライトが及ぼす加齢への影響-神経ネットワーク、筋、ミトコンドリアへの影響-(Neural Integration System)」に関する実験が地上と連携して行われました。地上では実験関係者たちがその手順などを見守りました。
Neural Integration System(NIS)の研究チームでは、これまで数回にわたる宇宙実験から、モデル生物の線虫が宇宙微小重力下で成長すると、運動・筋肉の構成・代謝において負の影響を受けていることを見出してきました。特に神経伝達物質の一つであるドーパミンの減少がこれらの宇宙実験から明らかになっています。
生物が加齢していくと、筋肉の萎縮や代謝不全、神経・筋変性疾患、免疫力の低下など、微小重力環境で見いだされる諸影響と似た現象が見られます。
本研究では、線虫の神経系に注目しながら微小重力環境が運動機能や筋肉の発達ならびに萎縮、免疫系にどのように影響するかを調べ、これらの変化の発症メカニズムを明らかにし、加齢で見られる諸影響への対処法を追究します。
研究代表者インタビュー
- 若田光一宇宙飛行士によるモデル生物を用いた「きぼう」日本実験棟での宇宙実験開始 -刺激の低下による神経・筋・免疫・加齢への影響- (東北大学プレスリリース)(2022年12月8日)
- [テーマ紹介] モデル生物を用いた宇宙フライトが及ぼす加齢への影響(Neural Integration System)
※ 特に断りのない限り、画像クレジットは©JAXA