公開 2022年9月 5日
本実験では、JAXAが新たに開発した固体燃焼実験装置(SCEM)を利用します。「きぼう」でのSCEMの組立・機能確認後、初となる燃焼実験を地上からの操作で行い、実験関係者も筑波宇宙センターからその進捗を見守りました。(図1~3)
FLAREテーマでは、さまざまな材質・形状の固体材料を実験試料として用い、微小重力環境における高精度な燃焼特性データを系統的に取得する予定です。最初の実験シリーズでは、薄い"ろ紙"が試料として用いられています。
今後の宇宙実験により、微小重力環境における材料燃焼性評価について、多くの利点を有する新手法の妥当性が検証され、次世代の国際的基準として活用されることが期待されます。
また、SCEMにより、低圧や高濃度酸素条件での材料燃焼実験がISSで初めて可能となりました。日本も参画する月面などへの国際宇宙探査(アルテミス計画)では、月面居住施設などの与圧環境として、ISS(大気圧、21% O2)とは異なる低圧・高濃度酸素条件(0.56気圧、34% O2)が検討されています。FLAREテーマにおいても、今後、同様な条件での実験データ取得が計画されており、アルテミス計画における宇宙火災安全性の確保に対しての貢献も期待されます。
研究代表者インタビュー
- ※1 固体燃焼実験装置(Solid Combustion Experiment Module : SCEM)
- ※2 火災安全性向上に向けた固体材料の燃焼現象に対する重力影響の評価(FLARE)
- 研究代表者藤田 修(北海道大学 教授)
- 実験目的 固体材料の燃焼性、特に燃焼限界条件が微小重力環境において通常重力環境と比べどのように変化するかを明らかにし、微小重力環境における材料燃焼性評価の国際的な基準を日本が主導して作成することを目的とします。
※ 特に断りのない限り、画像クレジットは©JAXA