公開 2021年7月15日
国際宇宙ステーション(ISS)「きぼう」日本実験棟に搭載された静電浮遊炉(ELF: Electrostatic Levitation Furnace)は順調に宇宙実験を実施しています。
これまでも海外から依頼された実験を含め多くの実験を実施してきました。現在はFragility(ガラスになりやすさ)の謎を究明する一連の実験※1が行われています。ELFはマイナーチェンジを繰り返しながら完成度を上げています。実験サンプルはすべて初めて宇宙でデータを取るものなので予期せぬ挙動を示すものも少なくありませんが、Fragility実験のあるサンプルでは文字通りほぼ完璧な浮遊溶融状態から理想的なデータが安定して取れています。これらは宇宙飛行士や地上運用チーム、装置スタッフのサポートのおかげです。ELFチームはこれからも研究者の期待に添えるよう努力します。
- ※1 新奇機能性非平衡酸化物創製に向けた高温酸化物融体のフラジリティーの起源の解明(Fragility)
- 研究代表者 小原 真司(物質・材料研究機構 独立研究者)
- 実験目的 高温液体、とりわけ、波及効果が高く、かつ、静電浮遊炉でしか測定できない酸化物の物性(特に粘性と密度)を精密測定する
- ※2 超高屈折率のカギは常識を覆すガラス構造にあり―超高屈折率ガラス開発へ新たな道― (東京大学プレスリリース)
- ※3 正確な密度と粘性は地上に回収されたサンプルの質量を測定して求めます