「きぼう」の船内では、月の重力を模擬した実験ができます。 惑星表面の柔軟地盤の重力依存性調査(Hourglass:砂時計)は、国際宇宙ステーション(ISS)・「きぼう」日本実験棟に搭載された人工重力発生装置により生み出される低重力環境下で、月の模擬レゴリス等の8種類の粉粒体がどのような挙動を示すかを調査するミッションです。実験で得られたデータは月・惑星土質力学等の構築に役立てられ、将来的には月・惑星の探査に使用されるローバや着陸機などの設計にも貢献することが期待されます。
宇宙ステーション補給機「こうのとり」8号機(HTV8)により2019年11月にHourglassの実験装置がISSに届けられた後、2回に分けて実験が行われました。第1回目の実験は2019年1月に実施され、基本的でより重要度の高い、アルミナビーズ、地球の代表的な砂(豊浦砂・珪砂)、月の模擬レゴリスを取り扱いました。第2回目は2020年5月に実施されました。実験に使ったのは火星や、火星の衛星フォボスの模擬レゴリスなど、将来の探査活動への応用が期待される実験試料ばかりです。実験のより詳細な情報については、Hourglassミッションページをご覧下さい。
使用した実験装置は、ライフサイエンス実験で使用されている人工重力発生装置(CBEF) です。生命現象における重力影響だけでなく、レゴリスの挙動など物理実験にも使える「きぼう」だけに設置されている実験装置です。今後の宇宙探査計画に向けた技術実証や基礎実験への活用が期待されます。
実験データは全て無事に地上に回収され、現在は研究チームが解析を始めています。研究成果については今後WEBにて報告いたします。