2020年6月11日、宇宙ステーション補給機「こうのとり」9号機(HTV9)で国際宇宙ステーション(ISS)に運んだ超小型衛星搭載用地球観測カメラ『Integrated Standard Imager for Microsatellites(以下、"iSIM")』を、「きぼう」船外プラットフォームの中型曝露実験アダプタ(i-SEEP)に取付け、観測準備を完了しました。
今回観測を開始する "iSIM" は、スペインの宇宙ベンチャー Satlantis社が、日本のSpace BD株式会社との契約を通じ、JAXAが「きぼう」船外利用として有償受託したものであり、船外利用における初の海外ユーザとなります。
Satlantis社は、"iSIM" の技術成熟度をあげるための技術実証の場として「きぼう」の船外環境を採用しました。ISSならではの高頻度な打上げ機会や、JAXAが開発したi-SEEPを使うことでバス部が不要なインターフェースなどの利点がうまくかみ合い、受託から1.5年というスピードで、「きぼう」での技術実証を実現しました。まさに、このような「きぼう」の使い方が、「きぼう」および将来の低軌道利用の商業利用化の一歩になるものと考えます。
i-SEEPによる船外利用事業は、2019年度よりSpace BD株式会社がJAXAに代わり「きぼう」船外実験プラットフォーム利用事業者として活動しています。JAXAは利用事業者と連携して、引き続き、「きぼう」の技術実証利用の拡大を積極的に取り組みます。
スペインとの交信イベント
6月9日にはスペインにゆかりのある向井千秋JAXA特別参与がモデレータを務め、スペイン国王フェリペ6世と軌道上クルーであるクリストファー・キャシディ宇宙飛行士の交信が行われ、スペインの宇宙産業の発展に対する期待と感謝が評されました。