国際宇宙ステーションに搭載された高エネルギー電子・ガンマ線観測装置「CALET」が、観測開始から10周年を迎えました。これを記念し、10年間の成果と今後の展望を共有するシンポジウムが11月15日、早稲田大学で開催され、産官学の関係者が一堂に会しました。
2025年11月15日(土)、早稲田大学小野記念講堂にて、早稲田大学理工学術院総合研究所主催のCALET10周年記念シンポジウムが開催され、研究者、早稲田大学関係者、開発企業、運用担当企業、JAXA職員など約120名が参加しました。
CALETは、日本初の宇宙空間での高エネルギー宇宙線観測装置として2015年にISS「きぼう」船外実験プラットフォームに設置され、設計寿命2年を大きく超えて10年間、故障や劣化なく安定した観測を継続しています。この間、宇宙線研究にパラダイムシフトをもたらす成果を挙げ、国際的著名誌に25報以上の論文を発表。宇宙線国際会議(ICRC)などの国際会議で多数の招待講演を行うなど、世界的に高い評価を得ています。さらに、重力波や電磁波観測との連携によるマルチメッセンジャー天文学、太陽地球磁気圏研究など、幅広い分野に貢献しています。
シンポジウムでは、研究代表者である鳥居祥二教授による観測成果のハイライト紹介(図1)、イタリア、アメリカの共同研究者からの報告(図2、3)、CALETで行われている各研究分野の詳しい成果紹介などが行われました。次世代ニュートリノ科学・マルチメッセンジャー天文学連携研究機構長 梶田隆章氏からのメッセージも披露されました。
JAXAからは、有人宇宙技術部門事業推進部長である小川志保と宇宙科学研究所研究総主幹である吉田哲也による講演(図4、5)に加え、開発・運用に貢献した企業10社への感謝状を贈呈しました(図6)。また、ISSに滞在中の油井宇宙飛行士からのビデオメッセージが会場を沸かせました(動画1)。
CALETは今後、ISS退役予定の2030年まで観測を継続し、宇宙線の起源の解明を目指すとともに、重力波観測との連携や宇宙天気予報研究など新たな科学ミッションにも挑戦します。
(株式会社IHIエアロスペース、三菱プレシジョン株式会社、日本飛行機株式会社、有人宇宙システム株式会社、宇宙技術開発株式会社、三菱電機ソフトウエア株式会社、浜松ホトニクス株式会社、株式会社クラレ、株式会社エム・ライン、京石産業株式会社)(Image by 早稲田大学)




