植物科学が切り拓く宇宙探査と地球持続性の未来
~国際宇宙生命科学ワーキンググループ(ISLSWG)によるView point論文を発表~

公開 2025年12月12日

2024年9月に開催された欧州微小重力研究協会(ELGRA)にて、国際宇宙生命科学ワーキンググループ(ISLSWG)の「Plants for Space Exploration and Earth Applications」ワークショップが行われました。ここでは人類の月面滞在のその先を見据えて、「どう生きるか」「どう食料を育てるか」「どう繁栄するか」といった課題について、11か国・7つの宇宙機関からなる40名以上の研究者による議論がなされ、新たなロードマップとして策定されました。

本ワークショップにおいて、JAXAの桐間研究開発員と伊妻研究開発員が「きぼう」日本実験棟での植物研究の成果と新規に研究開発中の植物栽培装置に関する発表を行いました。この各国の発表とその場の議論を元に総説が出版され、両名は論文の共著者となっています。(論文情報

植物は、宇宙探査における生命維持の鍵であると同時に、地球環境の持続可能性にも貢献する存在です。本論文は、植物科学が人類の新たなフロンティアを切り拓くための道筋を示す重要な一歩となります。
このような国際的な取り組みは、JAXAの「きぼう」をはじめとする宇宙環境利用の可能性をさらに広げるものです。今後も植物科学の発展と宇宙探査の融合に期待が高まります。

私たちの生命維持システムとしての植物(L. Fountain)(P4Sプレスリリースより)

論文の概要

宇宙環境が植物科学にもたらす変革

宇宙という極限環境を「実験室」として活用することで、植物が重力やストレスにどのように応答するかを理解するための革新的な知見が得られると考えられています。これらの知見は、地球上の農業技術にも応用可能であり、持続可能な食料生産に貢献する可能性を秘めています。

新たな評価指標「BRL」の提案

NASAの作物評価スケールを拡張した新たな指標「Bioregenerative Life Support System(BLSS) Readiness Level」を提案。これは、宇宙空間で植物が空気、水、栄養をどれだけ効率的に再生できるかを評価するもので、栄養供給だけでなく、生命維持機能全体を支える植物の役割を定量的に示す枠組みです。

国際連携による未来の実現

本論文では、予測モデル、合成生物学、地上模擬環境、宇宙空間での生物モニタリング技術など、多様なアプローチの必要性を提言しています。これらの取り組みを加速するためには、国際的な連携と資源・知見の共有が不可欠です。

学術論文

雑誌名
New Phytologist
論文名
著者名
Luke L. Fountain ほか国際共同研究者(JAXAからは桐間 惇也、伊妻 ディラン 駿が共著者として参加)
DOI
10.1111/nph.70662

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
有人宇宙技術部門 宇宙環境利用推進センター
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