公開 2023年11月 2日
国際宇宙ステーション・「きぼう」日本実験棟で実施した静電浮遊炉の宇宙実験結果をまとめた論文(研究代表者:宇宙科学研究所 石川毅彦 教授)が日本マイクログラビティ応用学会の2023年度 論文賞を受賞し、2023年10月26日に日本マイクログラビティ応用学会 第35回学術講演会 (JASMAC-35)の授賞式で表彰されました。
本論文では、「きぼう」の静電浮遊炉を用いた、溶融酸化物(酸化アルミニウム、酸化テルビウム)の表面張力と粘性係数の測定について報告しています。軌道上で浮遊した液滴状態の溶融酸化物に振動を加えて熱物性を測定する液滴振動法や、この測定方法に使用する地上と宇宙の静電浮遊炉での機器の違いなどが述べられています。得られたデータの解析方法や、文献値との比較、不確かさの評価も行っており、酸化テルビウムの表面張力と粘性係数については初めて測定することに成功しました。
静電浮遊炉の液滴振動法について広く・深く議論が展開されているので、是非ご覧ください。
今回、これまで計測実績のない酸化テルビウムの表面張力と粘度の計測を行った点、工学上有用である酸化物の物性値の計測成果は地上分野へ適用することが可能であり、地上への波及も大きい点、すでに多くの論文引用もなされており、我が国の微小重力利用研究の重要なマイルストーンとなる点等が評価され、受賞に至りました。
学術論文
雑誌名
Int. J. Microgravity Sci.Appl., (2022) p390101
論文名
著者名
ISHIKAWA Takehiko, KOYAMA Chihiro, ODA Hirohisa, SARUWATARI Hideki, Paul-François PARADIS
DOI
10.15011/jasma.39.390101