インクリメント57/58期間
2018年10月4日 ~ 2019年3月14日
インクリメント57/58キーメッセージ
地球低軌道における新たな技術の獲得へ
~物資回収技術の実証と船外実験拠点の有償利用促進~
インクリメントマネージャ紹介
こんにちは、インクリメント57/58マネージャの高橋晋平です。私の担当インクリメントは2019年3月15日のソユーズMS-12宇宙船(58S)打ち上げ・ドッキングをもって完了しました。これまでJAXAが経験したことがない波乱万丈のインクリメントでした。
インクリメント開始直後の10月11日にソユーズMS-10宇宙船(56S)が緊急帰還したことで、本来ISSの宇宙飛行士6人体制が3人体制となりISSの運用・利用計画を大幅に見直すことになりました。ISS参加国で「事故調査チーム」、「短期計画チーム」、「長期計画チーム」を立上げ、さまざな調査・検討を行いました。56S事故調査が長引いた場合の最悪ケースとしてISS無人化運用の検討も行われましたが、12月3日にソユーズMS-11宇宙船(57S)が無事に打上・ドッキングして無人化の危機は回避されました。またこうのとり7号機で打上げたISSバッテリー交換船外活動は3人体制では実施が困難なため次のインクリメントで実施することになりました。しかしJAXA目玉ミッションのHTV小型回収カプセルの成功や、アメリカ有人宇宙飛行の新しい幕開けとなる有人型ドラゴン宇宙船 無人飛行試験1号機(SpaceX Demo-1)の成功など、素晴らしい成果を上げることもできました。このように大変だったこと、嬉しかったこといろいろありましたが、3名体制という限られたリソースで最大限の成果創出のためにISS参加国が協調し達成できたことに、ISS計画の素晴らしさを再認識したことが最も印象に残ったインクリメントでした。最後に関係者の皆様の多大なるご支援に最大限の感謝の気持ちを表したいと思います。本当にありがとうございました、そしてお疲れ様でした。
こんにちは、インクリメント57/58マネージャの高橋晋平です。インクリメントマネージャ制度は、インクリメント45/46から始まって、私で延べ7人目になります。インクリメントマネージャの仕事は、担当するインクリメントで実施される実験やミッションから、キーメッセージを考え、キーメッセージに沿って実験やミッションの優先順位をつけて実行することです。私のインクリメントの目玉は何といっても初のHTV搭載小型回収カプセル技術実証です。また「きぼう」船外有償利用は新規顧客参入促進のために確実なミッション達成を目指します。
利用ミッション
- 簡易曝露実験装置【ExHAM #1,#2】
- 「きぼう」からの超小型衛星放出【J-SSOD #10】
- HTV搭載小型回収カプセル【HTV Small Reentry Capsule】
- ループヒートパイプラジエータ技術実証ミッション【Loop Heat Pipe Radiator Demo】
- 第4回小動物飼育ミッション【MHU-4】
- 閉鎖微小重力環境下におけるプロバイオティックスの継続摂取による免疫・機能および腸内環境に及ぼす影響の検討に係る共同研究【Probiotics】
- 長期宇宙滞在がヒトの脳循環調節機能に及ぼす影響【Cerebral Autoregulation】
- 宇宙滞在中の液体生検による血漿中核酸のゲノム・エピゲノム解析【Cell-Free Epigenome】
- 「きぼう」を利用した骨粗鬆症に係わる蛋白質の臨床プロテオーム研究【Medical Proteomics】
- 長期宇宙滞在により引き起こされる耳石前庭機能障害の評価【Labyrinth】
- 高品質タンパク質結晶生成実験
- タンパク質4℃結晶生成実験 第4回【JAXA LTPCG #4】
- 凍結乾燥生殖細胞の宇宙保存実験【Space Pup】
- 静電浮遊炉【ELF】
- マランゴニ対流における時空間構造【Marangoni UVP】
- 沸騰・二相流体ループを用いた気液界面形成と熱伝達特性【TPF2】
- 高エネルギー電子、ガンマ線観測装置【CALET】
- 全天にわたるX線天体観測【MAXI】
- 長期飲料水保存技術実証【Nano-Bubble Demo】
- ※実施予定の利用ミッションは、「きぼう利用戦略」の具体的取り組みの分類に基づいたマッピング(図1)および利用ミッションの優先順位の考え方(図2)を基に優先順位を定めています。