開催結果
「国際宇宙ステーション(ISS)・「きぼう」利用シンポジウム2021」を1月29日(金)から毎週5回オンライン開催しました。5日間を通して、エコノミスト、コンサルタント、利用者、米国(NASA、企業)などからの参加を得て、多岐の視点から「きぼう」利用の意義・価値・将来展望などについて議論しました。
1日目から5日目までのシンポジウムのアーカイブス動画へのリンクを開催結果概要に掲載しております。是非ご覧ください。
日程
開催日時 | メインプログラム | |
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#1 | 1月29日(金) 18時から | 「きぼう」利用全体概要 |
#2 | 2月5日(金) 18時から | 科学利用・学術利用全般 |
#3 | 2月12日(金) 18時から | 民間利用・商業利用全般 |
#4 | 2月19日(金) 19時から | 国際協力(JAXA/NASA 共同ワークショップ) |
#5 | 2月26日(金) 18時から | 国際宇宙探査に向けた技術実証 |
場所
オンライン開催
中継場所:X-NIHONBASHI Towerを主に使用。
(東京都中央区日本橋室町2-1-1日本橋三井タワー7階)
開催結果概要
きぼう利用の最新状況と今後の展望
1日目は、「きぼう」利用の全体概要として、JAXAから「きぼう」利用戦略についてご説明させていただくとともに、有識者によるパネルディスカッション"公共財としての「きぼう」"を実施いたしました。登壇者からは、科学技術イノベーション、ビジネスや国際プレゼンスの観点からの意義に加え、人類史に残る偉業の達成、理科系(文科系)の教育・人材の強化、個々人の夢・ロマン・好奇心など、日本/国際社会全体に対する影響は大きいなどのご意見を頂くなど、活発にご議論いただきました。
オープニング
- 有人宇宙開発・宇宙探査の状況
- ISS運用延長
きぼう利用戦略
~2030年ビジョン~
- きぼう利用の変遷
- きぼう利用戦略:ビジョン
- きぼう利用戦略:具体的な取組み
公共財としてのISS・「きぼう」の秘めたポテンシャルとは
- 科学技術立国・科学技術イノベーションという観点からの重要性
- ビジネスの観点からの可能性
- 外交や国際プレゼンスの観点からの価値
- 科学技術的価値や政治的価値以外のポテンシャル
"サイエンス"で宇宙最先端を行く─学術研究基盤の「きぼう」
2日目は、「きぼう」の科学利用について、「学術研究基盤としての「きぼう」の価値」についてのパネルディスカッションを実施するとともに、これまでの学術利用における成果をご報告いただきました。パネルディスカッションの登壇者からは、ISS「きぼう」の価値として、マウスを用いた実験や再生医療に向けた立体培養の実験など地上における健康長寿社会に役立つというご意見や月・火星に向けた宇宙探査を進めるうえでテストベッドとして必須であり、ISSのような施設を複数増設すべきなどのご意見を頂きました。
学術研究基盤としての「きぼう」の価値
─健康長寿社会への貢献と宇宙探査への貢献
- 宇宙のどういった点に魅力を感じて、研究ユーザになったか
- 宇宙を使った加齢研究が健康長寿社会にどのように役立つと感じたか
- 医療およびアカデミアなどの研究の観点/月探査の観点から地球低軌道の利用価値
- 「研究成果を社会実装(還元)するには何が必要か
- 2025年以降も「きぼう」の学術利用・公的利用を維持・拡大することの意義・価値・期待
「きぼう」学術利用における研究成果と今後の課題
- 『アルツハイマー病発症のカギとなるアミロイド線維のかたちの変化』
- 『最先端の遺伝子解析技術が解き明かす宇宙でのからだの変化』
- 『日本がリードする宇宙での燃焼研究と火災安全』
- 『「きぼう」船外で微生物が3年間生存!』
宇宙を舞台に"ビジネス"する─新たな投資領域「きぼう」
3日目は、「きぼう」のビジネス利用について、これまでの成果や今後に向けた課題についてなど発表いただき、それに続き、宇宙ビジネスの事業促進に関するパネルディスカッションが実施されました。また、池上彰氏が司会を務める「きぼう」利用の価値に関する特別番組も放送されました。パネルディスカッションの登壇者からは、ベンチャーにとって、ISS「きぼう」は技術実証ができる場として最適であり、ISS「きぼう」利用を行うことで、信頼性や技術力を証明することができる、といったご意見を頂きました。
「きぼう」民間利用の成果と今後の課題について
- 瞬間移動サービス「アバターイン」が描く未来
- KIBO宇宙放送局"THE SPACE SUNRISE LIVE"
- SOLISS(Small Optical Link for ISS)
ISS・「きぼう」は、宇宙ビジネスの登竜門?
─宇宙環境利用の事業 化促進に必要なことは 何か?
- ISSや「きぼう」の利用を考えた決め手
- 地球低軌道(LEO)を基点とした宇宙活用方法
- 「きぼう」・ISSへの今後の期待
きぼう利用を行うにあたって
- 「きぼう」利用のポートフォリオ(目指す姿)
- 民間利用・オープンイノベーションの推進に向けた2つのアプローチ
人はなぜ宇宙を目指すのか
─池上彰が斬るISS「きぼう」利用の価値とは
- 「きぼう」とは何か
- 宇宙で実験することの意義とは何か。将来的にはどのようなことに役立つのか
- 「きぼう」は今後どのような計画があり、どのような宇宙開発を行っていくのか
JAXA/NASA Joint Workshop
4日目は、JAXA/NASA Joint Workshopを開催し、NASA、ISS National Lab、AXIOM社からのプレゼンテーションやJAXAとNASAの共同ミッションについての取り組みと成果の日米共同プレゼンテーションが実施されました。また、ISSと日本とアメリカを「きぼう」宇宙放送局のシステムを活用し3元中継で結び、野口宇宙飛行士、佐々木理事、キャシーリーダース局長との対談が行われました。その中で、キャシーリーダース局長からは、米国の新政権、議会、ホワイトハウスがISS運用延長の重要性を表明しており、20年続いたJAXAとNASAの協力関係はまだまだ続くなどのご発言を頂きました。
NASA ISS Utilization Updates
- ISSでのNASA・JAXAの共同事業の功績
- 民間宇宙船「クルードラゴン」の打ち上げ
- 統計で振り返る20年間の歩み
- NASAとJAXAにおける今後の展望
ISS National Lab Status
- ISS National LabのMissionとPartnership
- あらゆる組織と協力した経験および組織体制
- 今後の展望
LEO Commercialization
- Axiomの3つの地球低軌道(LEO)事業
- 有人宇宙探査活動の可能性
- 地球低軌道(LEO)における研究や製造
- 深宇宙探査における支援
- 未来の宇宙開発
Status on JAXA-NASA Joint Mission under JP-US OP3
- KIBO-Robot Programming Challenge (KIBO-RPC)
- Electrostatic Levitation Furnace (ELF)
- Rodent Mission Cooperation
Future Vision for ISS/LEO Utilization and Exploration
- 宇宙で民間のパワーを感じるか
- 2024年以降のISSの利用・運用についての検討状況
- LEO利用と事業化に向けたビジョンと活動
- OP3の下、JAXAとNASAの協力の重要性
宇宙探査技術のステップアップ─技術を磨ける「きぼう」
5日目は、「きぼう」の宇宙探査に向けた技術実証をテーマとし、JAXAから月探査に向けた取り組みと「きぼう」を用いた技術実証について話題提供いたしました。また、宇宙探査と低軌道利用についてのパネルディスカッションを実施し、登壇者からは、月や火星探査を行うにあたり、テストをする場としては、もっとも優れた、重要な施設であるなどのご意見を頂きました。
探査に向けた取り組み
- 月面と地球低軌道の違い
- 地球低軌道から月面への連接
「きぼう」を用いた技術実証の取組み
- 超長期有人宇宙滞在技術・探査技術獲得
- 月近傍・月面探査活動・環境利用に向けて
- 「きぼう」利用を支える基盤技術:宇宙環境利用・運用の自動化・自律化や遠隔操作技術
宇宙探査と地球低軌道利用
─月探査にむけて、「きぼう」使ってみました
- なぜ、低軌道や月探査に関連する技術開発を取り組むに至ったのか
- それぞれの立場(民間事業者、大学・研究機関)から、今後低軌道や月探査に取り組む意義は何か
- 2025年以降もISS・「きぼう」の利用を維持・拡大すべきか。維持・拡大に向けてISS・「きぼう」の課題は何か