Crew PADLESとは
Crew PADLES線量計
日本人宇宙飛行士の個人被ばく管理を行うために、フライト期間中、宇宙飛行士に携帯させる個人線量計です。PADLES線量計にポリカーボネート製のケースと、ストラップを取り付けて、携帯しやすい形状になっています。
宇宙飛行士の軌道上の滞在日数や生涯搭乗日数は、設定した防護のための被ばくしきい値(生涯実効線量当量制限値)に対して、実際に線量計で測定した線量結果との比較によって決定されます。
軌道上での線量計の着用
スペースシャトルに乗り込む前から、軌道上での滞在期間中、そして地球への帰還まで、宇宙飛行全ての期間にわたり、宇宙飛行士はCrew PADLESを着用し続けます。
- 打ち上げや帰還の時:
- スペースシャトルに乗る際に着るオレンジ色の与圧服(ACES:Advanced Crew Escape Suit)のポケットに入れます。
- 宇宙船内での活動時:
- 船内で着る服の胸ポケットや、ウエストポーチに入れます。
- 宇宙船外での活動時:
- 船外活動用の宇宙服(EMU:Extravehicular Mobility Unit)の右足/左足のポケットに入れます。
Crew PADLESでの個人被ばく線量計測
スペースシャトルクルーや、国際宇宙ステーションの長期滞在クルーとなる日本人宇宙飛行士と共にCrew PADLESを搭載します。日本人宇宙飛行士の帰還後、地上でCrew PADLES線量計を解析します。
2008年3月フライト
STS-123 スペ-スシャトルクル-
土井 隆雄 宇宙飛行士
2008年6月フライト
STS-124 スペ-スシャトルクル-
星出 彰彦 宇宙飛行士
2009年3月~7月フライト
国際宇宙ステ-ション
第18次/第19次/第20次長期滞在クル-
若田 光一 宇宙飛行士
2009年12月~2010年6月フライト
国際宇宙ステーション
第22次/第23次長期滞在クル-
野口 聡一 宇宙飛行士
2010年4月フライト
STS-131 スペ-スシャトルクル-
山崎 直子 宇宙飛行士
2011年6月~11月フライト
国際宇宙ステーション
第28次/第29次長期滞在クル-
古川 聡 宇宙飛行士
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古川宇宙飛行士による宇宙セミナー(2分ビデオ) 「Crew PADLESによる宇宙放射線計測」
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2012年7月~11月フライト
国際宇宙ステーション
第32次/第33次長期滞在クル-
星出 彰彦 宇宙飛行士
2013年11月~5月フライト
国際宇宙ステーション
第38次/第39次長期滞在クル-
若田 光一 宇宙飛行士
2015年7月~12月フライト
国際宇宙ステーション
第44次/第45次長期滞在クル-
油井 亀美也 宇宙飛行士
2016年7月~10月フライト
国際宇宙ステーション
第48次/第49次長期滞在クル-
大西 卓哉 宇宙飛行士
2017年12月~6月フライト
国際宇宙ステーション
第54次/第55次長期滞在クル-
金井 宣茂 宇宙飛行士
2020年11月~2021年5月フライト
国際宇宙ステーション
第64次/第65次長期滞在クル-
野口 聡一 宇宙飛行士
2021年4月~2021年11月フライト
国際宇宙ステーション
第65次/第66次長期クルー
星出 彰彦 宇宙飛行士
2022年10月~2023年3月フライト
国際宇宙ステーション
第68次/第69次長期クルー
若田 光一 宇宙飛行士
2023年8月~2024年3月フライト
国際宇宙ステーション
第69次/第70次長期クルー
古川 聡 宇宙飛行士
2025年3月~フライト
国際宇宙ステーション
第72次/第73次長期クルー
大西 卓哉 宇宙飛行士
国際協力 ~ 海外宇宙飛行士の飛行時における宇宙放射線計測協力 ~
運用性確認、計測データの蓄積、国際協力の一環として、海外宇宙機関の宇宙飛行士がISSに搭乗する際に、Crew PADLESを用いた個人被ばく線量の計測・データの提供を行っています。これまで、下記の2カ国の宇宙飛行士の被ばく線量計測の協力を実施しました。
マレーシア宇宙庁(ANGKASA)
シェイク・ムザファ・シュコア宇宙飛行士(Dr.Sheikh Muszaphar Shukor)
打ち上げ :2007年10月10日(ソユーズ15S)
帰 還 :2007年10月21日(ソユーズ14S)
飛行時間 :10日22時間46分
1972年 マレーシア・クアラルンプール生まれ。医学博士。
2006年 マレーシア人初の宇宙飛行士として選抜される。
イスラム教徒。今回の飛行中、世界で初めて宇宙でラマダン(断食月)を過ごした。
15Sミッションの概要:http://iss.jaxa.jp/iss/flight/15s/
韓国宇宙研究所(KARI)
イ・ソヨン宇宙飛行士(Dr. So-yeon Yi)
打ち上げ :2008年4月 8日(ソユーズ16S)
帰 還 :2008年4月19日(ソユーズ15S)
飛行時間 :10日21時間14分
1978年 韓国・光州生まれ。生物工学博士。
2006年 韓国初の宇宙飛行士として選抜される。
16Sミッションの概要:http://iss.jaxa.jp/iss/flight/16s/