Free-Space PADLES線量計は、曝露環境での正確な被ばく線量が測定できるように、長期間1気圧に保持可能なドーム型のアルミニウムケース(φ6.4cm)とその中に設置されたPADLES線量計や温度センサーを総称したものです。
PADLES線量計には、固体飛跡検出器(CR-39)と熱蛍光線量計(TLD)の2種類の素子から構成されており、アルミヒートシールバッグに封入されています。通常、酸素分圧の変化が生じる真空環境下では、PADLES線量計は正確な線量計測ができません。そのため、アルミヒートシールバッグに封入しています。
本実験では、アルミニウム製ケースは、厚さ0mm(ケース無し)、0.3mm、0.6mm、0.9mm、1.2mm、1.5mm、2.0mm、3.0mm、4.0mmの9種類を変えることによって、宇宙放射線の遮蔽厚に対する線量減衰データも取得することができます。
今回の技術実証ミッションでは、
Free-Space PADLES線量計は、2015年4月15日にドラゴン補給船運用6号機でケープカナベラル空軍基地から打ち上げられ、2015年5月14日にISS/「きぼう」船内でスコット・ケリー宇宙飛行士によって「きぼう」エアロックのスライドテーブル上の親アーム先端取付型実験プラットフォーム(Multi-Purpose Experiment Platform: MPEP)に取り付けられました。その後、スライドテーブルをエアロック内に収納し、減圧が完了しました。
2015年6月1日に「きぼう」船内から船外の曝露環境へ、Free-Space PADLESを搭載した親アーム先端取付型実験プラットフォーム(Multi-Purpose Experiment Platform: MPEP)が搬出されました。
2015年6月15日に、筑波宇宙センター地上管制からの制御により、ロボットアームが姿勢場所地点からエアロック前に移動後、スコット・ケリー宇宙飛行士によるISS「きぼう」船内からの操作により、Free-Space PADLESが搭載された親アーム先端取付型実験プラットフォーム(Multi-Purpose Experiment Platform: MPEP)がエアロック内に回収されました。
2016年3月、Free Space PADLES線量計が筑波宇宙センターに返却され、開封作業、解析を行いました。
帰還後のFree Space PADLES |
開封作業中のFree Space PADLES |
リンク先:
我が国独自の線量計で、「きぼう」船外で初めて宇宙放射線環境モニタリング実験を開始(Free-Space PADLES実験)
http://iss.jaxa.jp/kiboexp/news/20150603_free-space_padles.html
「きぼう」船外の宇宙放射線環境モニタリング『Free-Space PADLES』実験が終了しました
http://iss.jaxa.jp/kiboexp/news/150622_free-space_padles.html