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地上で微小重力実験はできますか

私たちは通常重力に逆らっているから重力を感じているのです。地球表面の重力を打ち消すためには、重力に逆らわず、重力の中心に向かって落下すれば良いのです。

落下塔(落ち続けている間は重力を感じない)

実験装置を落下させる落下塔というものがあります。落下搭の仕組みは、地球の中心に向けて真っすぐ立てたタワーもしくは掘った穴に実験装置を内蔵したカプセルを落下させるというもので、遊園地にあるフリーフォールと基本原理は同じです。

北海道空知郡上砂川町にある(株)地下無重力実験センター(Japan Microgravity Center: JAMIC)※1にある落下搭を例に説明します。この設備は旧炭坑の縦坑を利用したもので、全長710m、自由落下距離は世界最大の490m、10秒間の微小重力環境が実現できます。

落下塔の内部は空気抵抗でカプセルが減速しないように、空気抜きのダクトが設けてあります。落下終了時はこのダクトを制御することでエアブレーキにもなります。

落下カプセルは二重になっており、実験装置は落下カプセル内に取り付けるのではなく、落下カプセルの中には空間がありそこにある内カプセルに取り付け、落下カプセルに固定されてはいません。

この落下カプセルの中は真空にされています。落下カプセルの上部には空気抵抗により減速した速度を補うための空気ジェットスラスタがあります。

実験機器を搭載した内カプセルが落下カプセルの床に触れそうになったら、空気ジェットスラスタを噴いて落下カプセルを加速し常に内カプセルが落下カプセルに触れないように制御し、自由落下させます。この構造により内カプセル内は10-5gという非常に良好な微小重力環境を保つことができます。

落下搭にはガイドレールがあり、落下カプセルはそれに沿って落下します。着地時には、エアブレーキと機械式ブレーキにより緩やかに減速(8g以下)されますので、市販の実験装置や測定器が壊れることはありません。

また、岐阜県土岐市にある日本無重量総合研究所(Micro-Gravity Laboratory of Japan: MGLAB)には自由落下距離100m、自由落下時間4.5秒間の落下搭があります。この落下搭は搭内を真空にすることにより、空気抵抗を無くし落下カプセルを自由落下させています。

※1: (株)地下無重力実験センター(JAMIC)は、平成15年3月31日をもって解散しました。

また、この落下塔よりもっと長い時間微小重力環境を作り出す方法に、パラボリックフライト(放物線飛行)という方法があります。

パラボリックフライト(放り投げられたボールの中は無重量)

上記で説明したように、落下しているカプセルの中の物体はカプセルと同じ速度で自由落下するので無重量状態になります。それと同様に、放り投げたボールの内部もボールと一緒に放り投げられたときの力と重力の合成した力に従って自由落下しているので無重量状態になります。

この放物線を描いて飛ぶことをパラボリックフライトといいます。

航空機を使用したパラボリックフライトは、放物線運動を行うように航空機を操縦して機内に無重量環境を作り出します。

パラボリックフライトによる加速度変化のイメージ
ボールを投げるときできるだけ強く上向きに投げることで地面に落ちるまでの時間を長くすることができるように、航空機でもできるだけ長い無重量環境をつくるためにパラボリックフライトに入る直前で最大速度に加速して急激に機首を上げ、エンジンをアイドリング状態にします。

そして慣性と重力に任せた放物線運動を行い、安全に回復できるように機首下げ角が限界を超える前にエンジン出力を上げ、機首を引き起こして通常飛行に戻します。

日本のダイヤモンドエアサービス(株)が行っている双発小型ジェット機MU-300でのパラボリックフライトでは、1回当たり10-2g以下の微小重力環境を約20秒間作り出せます。

NASAが宇宙飛行士の訓練などに使用しているジェット輸送機KC-135Aでは、およそ1回当たり25秒間のパラボリックフライトができます。この訓練では、加速度の変化に酔って嘔吐してしまうことがあるので、このKC-135A輸送機はVomit Comet(嘔吐彗星)と呼ばれています。

※特に断りのない限り、画像クレジットは©JAXA