2026.09.18
- お知らせ
マウス宇宙ミッションの研究成果と今後の展望に関するメディア向けの説明会を開催 統合バイオバンク「ibSLS」とマウス宇宙ミッションの最新成果を紹介
- 「きぼう」利用のご案内
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2026年8月27日、「マウス宇宙ミッションの研究成果と今後の展望に関する記者勉強会」を開催しました。
本説明会では、国際宇宙ステーション(ISS)「きぼう」日本実験棟を活用した小動物(マウス)ミッションの成果や、宇宙生命科学統合バイオバンク「ibSLS(integrated biobank for Space Life Science)」の本格稼働、さらに重力環境の変化による生体影響に関する最新研究成果について紹介しました。
当日は現地・オンライン併用のハイブリッド形式で実施され、通信社、新聞社、テレビ局、宇宙・科学系専門メディア、サイエンスライターなど、多様な報道関係者が参加しました。
本説明会では、国際宇宙ステーション(ISS)「きぼう」日本実験棟を活用した小動物(マウス)ミッションの成果や、宇宙生命科学統合バイオバンク「ibSLS(integrated biobank for Space Life Science)」の本格稼働、さらに重力環境の変化による生体影響に関する最新研究成果について紹介しました。
当日は現地・オンライン併用のハイブリッド形式で実施され、通信社、新聞社、テレビ局、宇宙・科学系専門メディア、サイエンスライターなど、多様な報道関係者が参加しました。
「きぼう」利用の成果をポストISS時代へつなぐ
会の冒頭では、JAXA有人宇宙技術部門 宇宙環境利用推進センター 研究開発マネージャの芝大が、小動物ミッションのこれまでの成果と今後の展望について紹介しました。
JAXAは「きぼう」日本実験棟において、世界でも特徴的なマウスを個別に飼育できる小動物飼育システムを活用し、微小重力や人工重力が生体へ及ぼす影響の解明を進めてきました。これまでの研究では、微小重力環境下での骨量減少や筋萎縮のメカニズム解明に加え、人工重力がそれらの変化を抑制する可能性など、多くの成果が得られています。
また、月重力(1/6G)や火星重力(1/3G)を模擬した研究も実施されており、将来の有人月面探査や火星探査に向けた科学的知見の蓄積が進められています。
説明会では、2030年頃に予定されるISS運用終了を見据え、より多くの研究者や民間企業の参画を促進しながら、「きぼう」利用の成果最大化とポストISS時代への円滑な移行を進めていく重要性について説明しました。
宇宙環境を活用した研究は、宇宙飛行士の健康維持や有人探査の実現に貢献するだけでなく、健康長寿社会や創薬研究など地上課題の解決にもつながることが期待されています。
JAXAは「きぼう」日本実験棟において、世界でも特徴的なマウスを個別に飼育できる小動物飼育システムを活用し、微小重力や人工重力が生体へ及ぼす影響の解明を進めてきました。これまでの研究では、微小重力環境下での骨量減少や筋萎縮のメカニズム解明に加え、人工重力がそれらの変化を抑制する可能性など、多くの成果が得られています。
また、月重力(1/6G)や火星重力(1/3G)を模擬した研究も実施されており、将来の有人月面探査や火星探査に向けた科学的知見の蓄積が進められています。
説明会では、2030年頃に予定されるISS運用終了を見据え、より多くの研究者や民間企業の参画を促進しながら、「きぼう」利用の成果最大化とポストISS時代への円滑な移行を進めていく重要性について説明しました。
宇宙環境を活用した研究は、宇宙飛行士の健康維持や有人探査の実現に貢献するだけでなく、健康長寿社会や創薬研究など地上課題の解決にもつながることが期待されています。
宇宙生命科学統合バイオバンク「ibSLS」が本格稼働
続いて、東北大学 特別栄誉教授/東北大学東北メディカル・メガバンク機構長特別顧問の山本雅之氏、および同機構 ゲノム解析部門 講師の大槻晃史氏から、宇宙生命科学統合バイオバンク「ibSLS」の概要と意義について説明が行われました。
JAXAはこれまで、小動物ミッションを通じて数多くの宇宙実験データや生体試料を蓄積してきました。一方で、それらの情報は個別の論文やデータベースに分散しており、研究者が横断的に活用することは容易ではありませんでした。
ibSLSは、こうした宇宙生命科学資源を統合し、ウェブ上で検索・比較・可視化できる研究基盤として構築されたものです。現在はMHU-1からMHU-5までのミッションで取得された遺伝子発現データや代謝物データなどが収載されており、研究者は専門的な解析環境がなくても宇宙実験データを活用することができます。
さらに、ibSLSの大きな特徴の一つが、東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)が保有する大規模なヒト健康データとの連携です。宇宙環境では、骨量減少や筋萎縮、代謝変化など、地上における加齢や長期臥床(一定期間以上ベッド等に横になった状態)時に見られる現象と共通する生体変化が短期間で生じます。ibSLSでは、宇宙マウスミッションで得られた遺伝子発現データや代謝物データについて、ToMMoが公開しているマルチオミクスデータを参照し、ヒトの加齢との関連を検討することが可能です。
また、研究者や企業はこれまで個別に管理されていたデータを横断的に利用できるようになり、新たな研究仮説の創出や創薬ターゲット探索の加速も期待されています。登壇者らは、宇宙研究に携わってこなかった研究者や企業にも広く活用してもらうことで、新たな研究成果の創出につなげたいとの考えを紹介しました。
JAXAはこれまで、小動物ミッションを通じて数多くの宇宙実験データや生体試料を蓄積してきました。一方で、それらの情報は個別の論文やデータベースに分散しており、研究者が横断的に活用することは容易ではありませんでした。
ibSLSは、こうした宇宙生命科学資源を統合し、ウェブ上で検索・比較・可視化できる研究基盤として構築されたものです。現在はMHU-1からMHU-5までのミッションで取得された遺伝子発現データや代謝物データなどが収載されており、研究者は専門的な解析環境がなくても宇宙実験データを活用することができます。
さらに、ibSLSの大きな特徴の一つが、東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)が保有する大規模なヒト健康データとの連携です。宇宙環境では、骨量減少や筋萎縮、代謝変化など、地上における加齢や長期臥床(一定期間以上ベッド等に横になった状態)時に見られる現象と共通する生体変化が短期間で生じます。ibSLSでは、宇宙マウスミッションで得られた遺伝子発現データや代謝物データについて、ToMMoが公開しているマルチオミクスデータを参照し、ヒトの加齢との関連を検討することが可能です。
また、研究者や企業はこれまで個別に管理されていたデータを横断的に利用できるようになり、新たな研究仮説の創出や創薬ターゲット探索の加速も期待されています。登壇者らは、宇宙研究に携わってこなかった研究者や企業にも広く活用してもらうことで、新たな研究成果の創出につなげたいとの考えを紹介しました。
宇宙で変わる「バランス感覚」の仕組みに迫る
福井大学 学術研究院医学系部門 医学領域 形態機能医科学講座 生理学分野 教授の安部力氏からは、宇宙飛行後に見られるバランス感覚の変化に関する最新研究成果が紹介されました。
宇宙飛行士が地球へ帰還した直後には、平衡機能の低下が見られることがあります。これまでは筋力低下や骨量減少との関係が主に注目されてきましたが、本研究では内耳にある重力センサーである前庭器に着目しました。
宇宙飛行士を対象とした検査の結果、耳石器の一部で重力センサーの機能をもつ「球形嚢(きゅうけいのう)」の機能が帰還後に大きく変化していることが確認されました。さらに、JAXAの宇宙マウスミッションで得られたマウス試料を解析したところ、球形嚢において特徴的な遺伝子発現の変化が確認されました。
宇宙飛行士で観察された機能変化と宇宙マウスで確認された分子レベルの変化が対応したことは、重力環境への適応メカニズムを理解するうえで重要な成果です。宇宙飛行中に生体がどのように環境へ適応し、帰還後にどのような変化が生じるのかを解明する研究として、大きな意義を持っています。
また、説明会では、微弱な電気刺激を用いて前庭機能を補助する技術の研究についても紹介されました。こうした研究は、宇宙飛行士の帰還後の健康管理だけでなく、高齢者の転倒予防や平衡機能低下への対策技術開発につながる可能性も期待されています。
宇宙飛行士が地球へ帰還した直後には、平衡機能の低下が見られることがあります。これまでは筋力低下や骨量減少との関係が主に注目されてきましたが、本研究では内耳にある重力センサーである前庭器に着目しました。
宇宙飛行士を対象とした検査の結果、耳石器の一部で重力センサーの機能をもつ「球形嚢(きゅうけいのう)」の機能が帰還後に大きく変化していることが確認されました。さらに、JAXAの宇宙マウスミッションで得られたマウス試料を解析したところ、球形嚢において特徴的な遺伝子発現の変化が確認されました。
宇宙飛行士で観察された機能変化と宇宙マウスで確認された分子レベルの変化が対応したことは、重力環境への適応メカニズムを理解するうえで重要な成果です。宇宙飛行中に生体がどのように環境へ適応し、帰還後にどのような変化が生じるのかを解明する研究として、大きな意義を持っています。
また、説明会では、微弱な電気刺激を用いて前庭機能を補助する技術の研究についても紹介されました。こうした研究は、宇宙飛行士の帰還後の健康管理だけでなく、高齢者の転倒予防や平衡機能低下への対策技術開発につながる可能性も期待されています。
宇宙医学から地上社会への還元に期待
本説明会では、宇宙マウスミッションによる最新の研究成果に加え、それらの成果を研究基盤として蓄積・共有し、次世代の研究や社会実装につなげていく取り組みが紹介されました。
今回紹介された研究は、「宇宙空間でヒトが安全に活動するための知見の蓄積」と「地上社会の課題解決」の両方につながる取り組みです。宇宙環境は、加齢や長期臥床によって生じる生体変化を短期間で観察できる特殊な研究環境でもあり、宇宙医学研究を通じて得られた知見は、健康長寿社会の実現や疾患研究、創薬研究など幅広い分野への貢献が期待されています。
また、ibSLSによる研究基盤整備が進むことで、これまで宇宙研究に関わってこなかった研究者や企業も宇宙実験データを活用できるようになります。宇宙マウスミッションによって得られた成果と研究基盤が相互に連携することで、今後さらに新しい発見や技術開発が生まれることが期待されています。
JAXAは今後も研究機関や企業との連携を通じて、宇宙環境利用による研究成果の創出と社会への還元を推進していきます。
今回紹介された研究は、「宇宙空間でヒトが安全に活動するための知見の蓄積」と「地上社会の課題解決」の両方につながる取り組みです。宇宙環境は、加齢や長期臥床によって生じる生体変化を短期間で観察できる特殊な研究環境でもあり、宇宙医学研究を通じて得られた知見は、健康長寿社会の実現や疾患研究、創薬研究など幅広い分野への貢献が期待されています。
また、ibSLSによる研究基盤整備が進むことで、これまで宇宙研究に関わってこなかった研究者や企業も宇宙実験データを活用できるようになります。宇宙マウスミッションによって得られた成果と研究基盤が相互に連携することで、今後さらに新しい発見や技術開発が生まれることが期待されています。
JAXAは今後も研究機関や企業との連携を通じて、宇宙環境利用による研究成果の創出と社会への還元を推進していきます。
開催概要
| 名称 | マウス宇宙ミッションの研究成果と今後の展望に関するメディア向けの説明会 ― 統合バイオバンク「ibSLS」とマウス宇宙ミッションの最新成果 ― |
|---|---|
| 日時 | 2026年8月27日(木) 14:00~15:30 |
| 形式 | 現地・オンライン併用のハイブリッド開催 |
| 参加者 | 通信社、新聞社、テレビ局、宇宙・科学系専門メディア、サイエンスライターなどの報道関係者 |
| 登壇者 |
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