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2026.05.22
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アジアントライゼロG 2025の軌道上実験が行われました!

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2026年3月24日、国際宇宙ステーション(ISS)の「きぼう」日本実験棟において、青少年向け簡易物理実験プログラム「アジアントライゼロG 2025」の軌道上実験が実施されました。

アジアントライゼロGは「きぼう」を利用したアジア・太平洋地域の協力イニシアチブ(Asian Beneficial Collaboration through “Kibo” Utilization:Kibo-ABC)の枠組みのもと実施されているもので、各国・地域の学生が提案した宇宙実験アイデアをもとに、宇宙飛行士が軌道上で実験を行う機会を提供しています。
近年は応募数が増加傾向にあり、2025年度は前回の約2倍となる過去最多の応募がありました。
  • 応募テーマ数 :500件
  • 参加者数   :1,176名
  • 参加国・地域数:9か国・地域
  • 採択テーマ数 :11件

実施された実験テーマ(国・地域名アルファベット順)

No. 内容 国・地域名
1 ※1 水とばねの実験 オーストラリア
2 微小重力環境での鉄線を使用した水の形状観察 バングラデシュ
3 ※2 紙飛行機でも翼端渦が発生するのは、重力のせいなのか? 日本
4 ※2 無重力で紙飛行機は翼のバランスに関係なく飛行できるか? 日本
5 角運動量保存則 マレーシア
6 2つのジャイロスコープ フィリピン
7 重心が異なる物体を3軸方向に回転させたときの影響は? シンガポール
8 ※1 踊るスリンキーで流体力学を観察 台湾
9 バネにおける単純調和運動の挙動 タイ
10 ※3 微小重力下における液体ブリッジの力学 タイ
11 ※3 微小重力下における調和運動と減衰効果の研究 UAE
※1、※2、※3:類似しているテーマは1つの実験として実施

軌道上実験

軌道上実験はNASAのクリストファー・ウィリアムズ宇宙飛行士によって実施されました。
当日は、筑波宇宙センターでの会場参加とオンライン配信を組み合わせたハイブリッド形式のイベントが開催され、参加した学生たちは、自分たちが提案した実験について発表を行った後、宇宙で実際に行われる様子をリアルタイムで見学しました。

タイ

最初に行われたのは「微小重力下における液体ブリッジの力学」実験です。2つのアルミニウム製ブロックの間に水滴を挟み、一方のブロックを上下に動かしてブロック間の距離を変化させたときの、水滴の形状変化を観察しました。さらに、片方のブロックをプラスチック樹脂製のものに置き換えた場合の違いについても観察しました。
いずれの条件においても、水はまるで接着剤のように振る舞い、地上実験では見られないほど長い「水の橋(液体ブリッジ)」が形成される様子が確認できました。学生たちは素材の違いによる液体ブリッジの長さや形状にどのような違いがあったのか、今後の詳細な解析に期待を寄せていました。
タイ「微小重力下における液体ブリッジの力学」(Image by JAXA/NASA)

バングラデシュ

続いて、「微小重力環境での鉄線を使用した水の形状観察」が行われました。ハート形や三角形、四角形の形状に曲げたワイヤーの内側に水を膜状に保持し、その形状や保たれ方を観察しました。
水は予想どおりワイヤーの形状に沿って保持されましたが、中央部分が球状に盛り上がるなど、微小重力環境ならではの独特な形状も確認され、会場からは思わず感嘆の声が上がりました。
バングラデシュ「微小重力環境での鉄線を使用した水の形状観察」(Image by JAXA/NASA)

オーストラリア・台湾

「水とばねの実験」および「踊るスリンキーで流体力学を観察」では、ばね状の玩具であるスリンキーの中に水を入れ、回転したり伸ばしたときの水の様子を観察しました。
水は外に飛び散ることなくスリンキー内に保持され、予想に反して球状を保つ様子が観察されました。学生たちは興味深そうに画面を見つめていました。
オーストラリア「水とばねの実験」、台湾「踊るスリンキーで流体力学を観察」(Image by JAXA/NASA)

タイ・UAE

「バネにおける単純調和運動の挙動」および「微小重力下における調和運動と減衰効果の研究」では、2つのばねの間に重りを取り付け、その重りにひもを付けて振動の様子を観察しました。しかし、振動をきれいにとらえることは難しく、宇宙飛行士はひもをまっすぐに伸ばしたり、静かに手を離したりと工夫をしながら何度も実験を行いました。
実験では、上下2つのばねについて、ばね定数が同じ場合と異なる場合の2条件で実施した結果、地上とは異なる振動の挙動が観察されました。実験を見守っていた学生たちは、驚いた様子を見せていました。
タイ「バネにおける単純調和運動の挙動」、UAE「微小重力下における調和運動と減衰効果の研究」(Image by JAXA/NASA)

日本

日本の学生が提案した「紙飛行機でも翼端渦が発生するのは、重力のせいなのか?」および「無重力で紙飛行機は翼のバランスに関係なく飛行できるか?」について、紙飛行機を用いた2種類の実験を行いました。
1つ目の実験では、紙飛行機の翼にひもを取り付け、翼端渦が発生するかどうかを検証しました。紙飛行機がふわりと舞い上がると、ひもが渦を巻く様子が確認され、翼端渦の発生が確かめられました。
2つ目の実験では紙飛行機の両翼に重りを取り付け、その質量が飛行方向や飛び方に与える影響を調べました。重りを付けることで、まっすぐ飛ぶのではなく前方に回転するような動きが見られました。学生たちはそれぞれの結果に真剣に向き合っていました。
日本「紙飛行機でも翼端渦が発生するのは、重力のせいなのか?」日本「無重力で紙飛行機は翼のバランスに関係なく飛行できるか?」(Image by JAXA/NASA)

シンガポール

「重心が異なる物体を3軸方向に回転させたときの影響は?」では、両端に質量の異なるボールを取り付けた棒(ローテーター)を2本組み合わせ、3軸方向に回転させた際の様子を観察しました。
ボールの素材や回転方向によって挙動が変化し、不安定な回転が生じる場面もあり、会場からは歓声が上がりました。
シンガポール「重心が異なる物体を3軸方向に回転させたときの影響は?」(Image by JAXA/NASA)

マレーシア

「角運動量保存則」の実験では、ひもの先端に取り付けたアルミ球を回転させ、その回転半径と回転速度の関係を検証しました。
半径が小さくなるほど回転が速くなると予想されていましたが、実際には徐々に遅くなる様子も見られ、学生たちは不思議そうな表情を浮かべつつ、今後の解析を楽しみにしているようでした。
マレーシア「角運動量保存則」(Image by JAXA/NASA)

フィリピン

最後の実験となる「2つのジャイロスコープ」では、棒の両端に取り付けた2つのジャイロスコープを同じ向きに回転させると装置全体は安定して浮いていましたが、逆向きに回転させると、こまのように軸が円を描く挙動が観察されました。画面越しの学生たちは、予想どおりの結果に興奮している様子でした。
フィリピン「2つのジャイロスコープ」(Image by JAXA/NASA)

クリストファー・ウィリアムズ宇宙飛行士のメッセージ

約2時間半をかけて11テーマすべての実験が行われ、最後にウィリアムズ宇宙飛行士から学生に向けて、次のメッセージが述べられました。

「アジアントライゼロG 2025」の物理実験が無事に終了しました。物理学者である私自身も、微小重力環境だからこそできる素晴らしい物理実験を行い、そしてその結果を見ることができ本当に興奮しました。
筑波宇宙センターやオンラインで実験をご覧になっていた学生の皆さん、これらの実験を見てどのように感じましたか?軌道上実験を通して、皆さんが楽しんで、科学への興味・関心をさらに深められたことを願っています。
私もこれらの実験を行うことができ、大変充実した時間でした。成果報告会で、皆さんの観察結果や分析を聞けることを楽しみにしています。

宇宙実験を楽しみ、これからも科学技術への関心を持ち続けてください!それは本当に素晴らしいことです。ご参加ありがとうございました!

※特に断りのない限り、画像クレジットは©JAXA