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2026.02.17
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アジアントライゼロG 2025の軌道上での実験準備が進められています!

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軌道上での実験準備について

国際宇宙ステーション(ISS)では様々な実験が行われており、その一部は宇宙飛行士が行う必要があります。作業を正確に進めるため、宇宙飛行士は「Operations Data File(ODF)」と呼ばれる手順書を参照しながら作業を行います。
「きぼう」日本実験棟で行われるアジアントライゼロG(以下、ATZ-G)2025でも、このODFが作成され、2025年3月に採択された11件の実験テーマについて、宇宙飛行士がODFに基づいて実験を行う予定です。
今回のODF作成にあたっては、ATZ-Gに企業として連携している株式会社デジタルブラストが各作業の手順を検証し、手順書の基となる資料を作成しました。その後、JAXAがそれらを基に最終的な手順書としてODFを取りまとめました。

手順の検証

学生が提案した実験を宇宙で実施するためには、宇宙環境でも同様の作業を実施できるのか、危ない作業がないかなどを確認・検証する必要があります。今回のATZ-G2025では、例えばオーストラリアと台湾の学生から提案されたスリンキーを用いた「水とばねの実験」では、実験中に水が飛び散らないよう操作方法を検討しました(図1)。
図1 「水とばねの実験」手順検証の様子
また、軌道上の作業は地上からカメラ映像を通してのみ観察可能であることから、カメラの位置・画角、実験の見せ方なども確認する必要があります。タイの学生が提案した「微小重力下における液体ブリッジの力学」は「きぼう」に設置されている多目的実験ラック(MSPR)のワークベンチ(WB)の上で行う実験で、2つのブロックに挟まれた水滴の様子をクリアに撮影できる位置にカメラを設置し、画角を検証しました(図2)。一方で、同じくMSPRの WB上で行う実験であるタイとUAEの学生から提案された「バネにおける単純調和運動の挙動」は、ばねの様子やその振幅を観察しやすくするために取り付けられた軽量耐熱性ロープを観察できるようWB全体を撮影する画角に変更する手順を追加しました。
図2 「微小重力下における液体ブリッジの力学」実験のカメラ画角
このように手順書を作成する際は、軌道上での実験の様子をイメージしながら、シンプルかつポイントを押さえた手順となるよう工夫することが重要です。また、それぞれの実験には事前に割り当てられている時間が決められているので、限られた時間内で全ての実験を行うべく、手順が明確で分かりやすいことも求められます。そのため、地上で軌道上の手順を検証する「地上検証」と呼ばれるプロセスを通して手順書のたたき台を作成します。その後、提案した学生と軌道上での手順を確認し、ODFの元となる資料を作成し、最終的にJAXAの運用チームが軌道上で宇宙飛行士が実際に参照するODFへと仕上げていきます。
図4 学生、関係者との手順確認会での記念撮影(マレーシア)
図5 学生、関係者との手順確認会での記念撮影(フィリピン)

予定外事象への対策

事前に地上で検証を重ねて作成した手順書をもとに軌道上で実験が行われますが、軌道上ではさまざまな要因で予期せぬトラブルが起きることがあります。限られた時間の中で実験を完了させるため、トラブルが発生した場合でも迅速かつ正確に対処できるよう、あらかじめ事象を想定しその解決策を検討しておく必要があります。その内容は「What if」と呼ばれる、トラブル想定と対応手順をまとめた資料として作成されます。
今回のATZ-G 2025でも同様に検討が行われ、例えば打ち上げた物品が使用時に壊れていた場合の代替品をどうするか、実験の様子がカメラ越しで見えづらい場合に立ち位置を変更してもらう依頼を行うなど、さまざまな状況を想定してその対応策を検討しています。

ISSでの実験について

ISSでの実験は宇宙飛行士によって行われることを目指して、引き続き準備を進めています。軌道上での実験の様子は後日紹介する予定です。

※特に断りのない限り、画像クレジットは©JAXA